第34回研究会を開催しました

発表 田中岳人(早稲田大学大学院):アラル海の枯渇(地球的諸課題)

 

メモ アラル海の枯渇に関する問題を,関係構造図を用いて構造の把握(システマティックな理解)をした上で,シナリオアプローチによる時間軸を入れた構造のパターン(システミックな思考)を検討した学習事例。計6時間を使って実施。

質疑では,開発コンパスを使うことの可能性や構成主義的な学習に関する指摘がなされたが,関係構造図には地理特有の自然と人間という見方を育むという点があることや(開発コンパスだと自然:人間が1:3でバランス悪い),構成主義的なアプローチでは見えてこない部分があること(見えない部分にこそ問題が宿る)を意識化する点にメリットがあることが議論された。

特にESDが意識されるようになった昨今では,全体を俯瞰することが欠かせない(持続可能という規範を意識することも欠かせない)。

環境問題は自然環境を対象として取り組み,開発問題は社会や経済を対象とするという縦割り的な取組みは,「見えていない部分」をつくる点が大きな欠点であった。また,「とりあえず見えている範囲の事柄を整理して考える」という実践可能性を高めるための枠組みは,「見えないところで起きる副作用」を予知していない点で俯瞰性を欠いており,ESDではないだろう。それならば,かつての狭義の環境教育や開発教育と変わらない。
以上に加えカリキュラムの視点から整理する必要性やムーミン問題等について,懇親会含め議論した。